福祉・介護職員等処遇改善加算について

障害福祉サービスにおける福祉・介護職員等処遇改善加算の制度概要、算定要件、申請書類、運用上の留意事項について、厚生労働省・こども家庭庁の通知に基づいて整理しています。

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目次

  1. 制度の概要
  2. 対象となるサービス
  3. 加算の区分
  4. 算定要件
  5. 申請に必要な書類
  6. 提出期限
  7. 取得後の運用上の義務
  8. 実績報告書の提出
  9. 加算の返還
  10. 参考資料・問い合わせ先

1. 制度の概要

1-1. 制度の目的

福祉・介護職員等処遇改善加算は、障害福祉サービス事業所等で働く職員の賃金改善を目的として設けられた加算制度です。事業所が一定の要件(キャリアパス要件・職場環境等要件)を満たし、職員の賃金改善を実施した場合に、その財源として基本報酬に加算が支給されます。

1-2. 加算額の使途

加算として受け取った金額は、その全額を職員の賃金改善に充当することが義務付けられています。事業所の運営費・設備投資・備品購入等への充当はできません。

賃金改善に伴う法定福利費の事業主負担の増加分については、賃金改善額に含めることができます。

1-3. 制度の沿革


2. 対象となるサービス

2-1. 従前から対象のサービス

居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、療養介護、生活介護、短期入所、施設入所支援、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助、児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援、居宅訪問型児童発達支援、福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設

2-2. 令和8年6月から新たに対象となるサービス

これら3類型の加算率は一律 5.1% とされています。


3. 加算の区分

加算は要件の充足度に応じて区分が設けられており、令和8年6月から加算Ⅰ・Ⅱに上位区分「ロ」が新設されました。

加算区分 位置づけ
加算Ⅰ(ロ) 加算Ⅰ(イ)の要件に加え、令和8年度特例要件を満たす場合
加算Ⅰ(イ) キャリアパス要件Ⅰ~Ⅴをすべて満たし、職場環境等要件を満たす場合
加算Ⅱ(ロ) 加算Ⅱ(イ)の要件に加え、令和8年度特例要件を満たす場合
加算Ⅱ(イ) キャリアパス要件Ⅰ~Ⅳを満たし、職場環境等要件を満たす場合
加算Ⅲ キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲを満たし、職場環境等要件を満たす場合
加算Ⅳ キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ及び月額賃金改善要件Ⅱを満たし、職場環境等要件を満たす場合

加算率はサービス種別ごとに定められています。具体的な加算率は厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(令和8年2月18日)等を参照してください。


4. 算定要件

加算を算定するためには、以下の3種類の要件を満たす必要があります。

4-1. キャリアパス要件

要件 内容
福祉・介護職員の職位、職責又は職務内容等に応じた任用要件と賃金体系について、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、すべての福祉・介護職員に周知していること
福祉・介護職員の資質向上のための計画を策定し、研修の実施又は研修の機会を確保していること。計画は、福祉・介護職員と意見を交換しながら策定すること
福祉・介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、すべての福祉・介護職員に周知していること
経験・技能のある福祉・介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金額が年額460万円以上であること(令和8年6月から、440万円から460万円に引き上げ)
福祉・介護職員のうち、改善後の賃金額が年額440万円以上である者を1人以上設定していること

4-2. 月額賃金改善要件

要件 内容
月額賃金改善要件Ⅰ 加算額の2分の1以上を、月額賃金(基本給又は決まって毎月支払われる手当)の改善に充てること
月額賃金改善要件Ⅱ 旧ベースアップ等支援加算相当額の3分の2以上を、新規の月額賃金改善に充てること(加算Ⅳの算定要件)

4-3. 職場環境等要件

事業所が職場環境等の改善のために行う取組みについて、定められた区分から一定数以上を実施することが求められます。

取組み区分

区分 テーマ
1 入職促進に向けた取組
2 資質の向上やキャリアアップに向けた支援
3 両立支援・多様な働き方の推進
4 腰痛を含む心身の健康管理
5 生産性向上のための業務改善の取組
6 やりがい・働きがいの醸成

必要な取組数

加算区分 必要な取組数
加算Ⅰ・Ⅱ 各区分から2項目以上、生産性向上区分から3項目以上、全体で14項目以上
加算Ⅲ・Ⅳ 各区分から1項目以上、生産性向上区分から2項目以上、全体で8項目以上

職場環境等要件として実施した取組内容は、障害福祉サービス等情報公表システムを活用して公表する必要があります。

4-4. 令和8年度特例要件(加算Ⅰロ・Ⅱロの取得要件)

加算Ⅰロ・Ⅱロを算定するためには、加算Ⅰイ・Ⅱイの要件に加え、以下の 「ア又はイのいずれか」及び「ウ」 を満たす必要があります。

ア又はイ(いずれかを満たす)

ウ(必須)

4-5. 令和8年度の特例措置

令和8年度に限り、要件の整備に一定の期間を要することを踏まえ、令和8年度中の対応の誓約により算定が認められる特例があります。具体的には以下の要件について、令和9年3月末までに整備することを誓約することで、要件未整備の段階でも算定を開始できます。

ただし、実績報告書により対応状況が確認され、未対応が確認された場合には加算額の一部又は全部を返還することとされています。

4-6. 賃金改善対象職員の範囲(令和8年6月以降)

令和8年6月から、賃金改善の対象となる職員の範囲が拡大されました。

区分 対象職員
福祉・介護職員 生活支援員、職業指導員、児童指導員、保育士、世話人 等
その他の職員(令和8年6月から拡大) 事務職員、調理員、運転手、看護職員、専門職員 等の事業所で働く職員
対象外 法人の役員、管理者・施設長などの経営層

5. 申請に必要な書類

5-1. 自治体に提出する書類

書類名 提出時期
福祉・介護職員等処遇改善計画書(別紙様式2) 算定を開始する前
介護給付費算定に係る体制等に関する届出書(体制届) 算定開始月の前月15日まで(自治体により取扱いが異なる場合あり)
変更届出書(別紙様式4) 計画書の内容に変更が生じた場合
特別な事情に係る届出書(別紙様式5) 経営悪化等により賃金水準を引き下げる場合
福祉・介護職員等処遇改善実績報告書(別紙様式3) 各事業年度における最終の加算支払いがあった月の翌々月の末日まで

5-2. 計画書に記載する主な事項

処遇改善計画書には、以下の内容を記載します。

5-3. 事業所内で整備すべき書類

申請に伴い、事業所内で以下の書類を整備する必要があります(提出は不要ですが、運営指導等で確認されます)。

なお、就業規則作成義務のない事業場(常時雇用する者が10人未満)においては、法人全体の取扱要領や内規等で代替できます。


6. 提出期限

6-1. 処遇改善計画書

算定開始時期 提出期限(原則)
令和8年4月又は5月から算定開始 令和8年4月15日
令和8年6月から算定開始 令和8年4月末日(厚生労働省・こども家庭庁事務連絡による特例)
令和8年7月以降から算定開始 算定開始月の前々月の末日

提出期限は指定権者(都道府県・市区町村)により異なる場合があります。詳細は管轄の指定権者にご確認ください。

6-2. 実績報告書

各事業年度における国保連からの最終の加算支払いがあった月の翌々月の末日が提出期限となります。

通常、年度末まで事業を継続した場合、3月サービス提供分の支払いは5月となるため、実績報告書の提出期限は7月31日となります。


7. 取得後の運用上の義務

7-1. 賃金改善の実施

計画書に記載した内容に従って賃金改善を実施する必要があります。賃金改善実施期間は、原則として4月から翌年3月までの12か月間です(年度途中で算定を開始する場合は、算定開始月から翌年3月まで)。

7-2. 賃金台帳等の整備

賃金台帳その他の書類を整備し、加算額の算定根拠及び賃金改善の実績が確認できるようにしておく必要があります。処遇改善加算による賃金改善額が他の手当と区別できる形で記載されていることが望ましいとされています。

7-3. 既存の賃金水準の維持

加算取得を理由として、既存の賃金水準(基本給及び毎月支払う手当の水準)を引き下げることは、原則として認められません。経営悪化等により賃金水準を引き下げる場合には、合理的な理由に基づき適切に労使の合意を得ることが必要であり、別紙様式5による届出が必要です。

7-4. 職員への周知

処遇改善計画書の内容及びキャリアパス要件Ⅰ~Ⅲを満たすことの書類については、すべての職員に周知する必要があります。

7-5. 変更が生じた場合の届出

以下の場合には、別紙様式4による変更届出書の提出が必要です。


8. 実績報告書の提出

8-1. 提出義務

加算を算定したすべての事業者は、実績報告書を提出する義務があります。実績報告の提出は加算の算定要件の一つであり、未提出の場合は加算の算定要件を満たさないものとして取り扱われます。

8-2. 実績報告書で確認される事項

確認事項 内容
賃金改善額 ≧ 加算額 賃金改善額が加算額以上であること
月額賃金改善要件の達成 加算額の2分の1以上を月給改善に充てたこと
要件の充足 キャリアパス要件・職場環境等要件を満たして賃金改善を実施したこと

8-3. 賃金改善額が加算額を下回った場合

賃金改善額が加算額を下回ることが判明した場合は、一時金や賞与等として早急に追加支給し、追加支給した額も含めて実績報告を行うこととされています(令和6年7月9日 福祉・介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A 第2版 問1-9)。


9. 加算の返還

以下の場合には、算定要件を満たさないものとして加算額の返還を求められます。


10. 参考資料・問い合わせ先

10-1. 厚生労働省・こども家庭庁の通知等

10-2. 厚生労働省ウェブサイト

10-3. 厚生労働省コールセンター

10-4. 申請書類の提出先

申請書類の提出先は、サービスの指定権者(都道府県・政令指定都市・中核市・市区町村)です。具体的な提出方法・様式は指定権者ごとに異なる場合があるため、管轄の指定権者の案内を確認してください。


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本ページは令和8年(2026年)5月時点で公表されている厚生労働省・こども家庭庁の通知資料に基づいて作成しています。今後、Q&A・通知の追加発出により内容が更新される可能性があります。実際の申請・運用にあたっては、必ず管轄指定権者の最新の案内及び厚生労働省の通知をご確認ください。

最終更新日:2026年5月7日